ちょうど3年前、ハーレムで一番有名な日本人、トミー富田さんを尋ねました。
トミーさんは、黒人音楽が好きで、思わず日本からニューヨークのハーレムに移り住んで来られたそうです。
黒人音楽の殿堂、アポロシアターの評議委員も務められておられます。
ハーレムに来られる前まで、六本木のバレンタインという、当時非常に有名なジャズのお店を持っておられました。
ですから、日本のジャズミュージシャンのことはだいたい知っておられ、裏話などはとても面白いのです。
中には公表してはまずいものもあり、一部だけ紹介します。
アポロシアターは、ジェームス・ブラウン、マイケル・ジャクソンなど数多くのスターを輩出し続ける、名門中の名門ライブハウスです。
アポロシアターに出演したがる(させたがる)日本人はとても多いのです。
しかし、日本人の演奏レベルでは、まずお話しにならないとトミーさんは言われます。
ですから、日本のビックネームがアポロシアターに出演する際には、
バックバンドもわざわざ日本から全員連れて来て、お客さんも日本人で貸し切りの状態にしたり、
お金を払って特別に出場枠をもらったり、というのが実情なのだそうです。
「自分の力だけで勝負して、予選落ちした平井堅は偉いよ。本物だよ。」
とトミーさんは語っておられました。
言うまでもないことですが、日本人の音楽は、本場には到底及ばないのです。
さらに、私はトミーさんからジャズについて教えてもらいました。
「レコードは一度聞いたら捨てるしかない。このことが最近、こっちに来てようやく分かったんだ。」
沈黙しながらじっと何度もレコードを聴き込んで、自分勝手な解釈をし、
無益な討論をすることに辟易されたのです。
ジャズは生きています。ライブにしかジャズは存在しないのです。
終わった後の音は、言ってしまえば、どうでもいいものです。
「今、近くのジャズバーでよく演奏している、あまり上手くはないドラマーがいるんだけどね。そいつのソロが長いんだよ。でも、ソロをじっと聴いてると、たまにキラッといいフレーズが光るんだよ。」
トミーさんは嬉しそうに言われていました。
インプロヴィゼーションとは、今、この場で音楽が誕生する奇跡です。
録音され出来あがった音楽は、その余韻が残るだけのものでしかありません。
最初から答えがある音楽は死んでいます。
日本には、音楽を大切に育てる土壌がなく、日本人は生きた音楽が分からなくなってしまっているのでしょう。
ハーレムから見た日本人の音楽は、人間味の無い、冷めたものにしか見えないのです。
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