民族音楽にはリズムのなまりが強くでていることがほとんどです。
例えば、ドラム・パーカッションの世界で、ラテン音楽をと呼ばれているジャンルを勉強しようとすれば、
すでに先人の研究があり、数多くの分類を見ます。
ひとつずつの基本のリズムパターンを抽出した「まとめ」を発見するたびに、その分析に驚かされます。
ほとんどが解析されているので、すでになぞが解けているかのような錯覚を受けます。
しかし、いざ自分がそれを実践しようとするならば、そのような分類は案外役に立ちません。
たとえ細かく、なまり方、を分析してあっても応用がきかないのです。
音を聞いたままに表現すれば、その場ではある程度マネすることが出来ますが、
別のシチュエーションになると途端にそのなまりが使えなくなります。
それは、なまりは、歴史を背負っている重いものだからです。
一朝一夕で身につくものではありません。
身につけると、自分の中の常識を、今とはもう一つ増やすことになります。
つまり、リズムのなまりには、自分の中の視点を増やし、
リズム感を飛躍的に向上させる秘密が隠れているのです。
そのためには、なぜそのなまりが出るのか、身体で納得するまで体験し、考えねばなりません。
実際、後天的に身につけようと思えば、それはものすごく大変なものがあります。
しかし、達成したときには、1つ上のレベルになっていることは間違いありません。
音楽の拍がより鮮明に見えるようになっているはずです。
分かってしまえばこれほど簡単なことも無いのです。これは自転車に乗るような感覚があります。
一度身につけると、頑張って、もう細かく分析する必要もありません。
私がハーレムで地元のミュージシャンのジャズの演奏を見たとき、
あまりリズム感が良いとは言えない黒人も、ジャズの(黒人の)パルスで演奏していました。
黒人のパルスを出すことは、私にとって、難易度の高いものでしたし、
実際に、今でも日本では、かなりの実力があるジャズプレーヤーも出来ていないことが良くあります。
それをいとも簡単に、しかも演奏があまり上手くないのに・・・
当たり前の話でしょうが、私はとてもショックを受けたことを覚えています。
私が苦労して身につけたものは、向こう(ハーレム)では当たり前のものだったのです。
しかし、その経験で私はより深くリズムを知ることとなりました。見えてくる世界も変わりました。
ぜひ、なまりを通じて、音楽の深さ、世界の広さを体感して下さい。

